こんにちは、社会保険労務士法人KESERAの宮崎です。
梅雨も明け日差しが強くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
みなさんは裁量労働制という働き方をご存じでしょうか。
採用している企業は少ないですが、労働時間を柔軟に定めることができます。
業務の性質上、働き方を労働者に委ねる必要があるものについて実労働時間ではなく予め決められた時間数労働したものとみなす制度です。
会社と労働者との間で取り決めた「みなし労働時間」をもとに賃金が支払われます。
例えば、みなし労働時間を8時間と決めた場合は、実際に7時間働いても9時間働いても、8時間分の賃金が支払われます。
裁量労働制には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制があります。
専門業務型裁量労働制
業務を行う方法や時間などに関して労働者の裁量に委ねる必要がある対象の業務について適用されます。
企画業務型裁量労働制
事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査の業務であって、適切に業務をするには働き方を労働者の裁量に委ねる必要がある業務について適用されます。専門型にように対象となる業務は明確に決められていません。
裁量労働制を含む労働時間制制度全体が労使双方にとって有益な制度となるように2024年の4月に改正がありました。
法改正の大きなポイントとしては制度の適用にあたり労働者本人の同意が必要になったことです。
労働者が同意をしなかった場合や同意を撤回した場合には、当該労働者に対して解雇したり、あるいは賃金を不当に減少したりする等の不利益な取扱いをすることは許されません。
このような不利益取扱いの禁止についても、協定することが必要です。
改正によって、労働者本人の同意が必要となったことに伴い、同意及び同意の撤回に関する労働者ごとの記録を作成・保存することが必要となりました。
また、専門型の対象業務について、いわゆるM&Aアドバイザリー業務が対象として追加されました。
柔軟な働き方ができるのは良いことですが、トラブルにつながらないように労使間での明確な取り決めが必要です。