こんにちは。きよなり社会保険労務士事務所の中野です。
令和3年10月、最低賃金法第12条に基づき、地域別最低賃金が改正されます。
福岡県の令和3年度地域別最低賃金は870円(28円引き上げ)、発効年月日は令和3年10月1日です。
そして、
佐賀県は821円(29円引き上げ、令和3年10月6日発効)、
山口県は857円(28円引き上げ、令和3年10月1日発効)、
大阪府は992円(28円引き上げ、令和3年10月1日発効)、
東京都は1041円(28円引き上げ、令和3年10月1日発効)
として決定されています。
(その他の都道府県の額は厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧をご確認ください)
労働者を雇用されている方は、改めて従業員の方の賃金額を確認しておく必要がありそうです。
また、令和4年1月には、健康保険法改正と雇用保険法改正の施行が予定されています。
そこで、今回は、その改正内容について調べてみました。
1.健康保険法改正について
現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造を見直し、全ての世代で
広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築する健康保険法等の改正の一環として、
令和4年1月1日施行の次の改正が予定されています。
① 傷病手当金の支給期間の通算化
休職と復職を繰り返すケース等に対応できるよう、支給開始(最初の休職)から1年6ヵ月経過すると
支給されなかった従来の制度を見直し、支給期間(休職期間)が1年6ヵ月を超えなければ(他の要件
を満たす限り)傷病手当金を支給できるよう改正されました。
② 任意継続被保険者制度の見直し
任意継続被保険者については、2点変更があります。
- 保険料の算定基礎
従来は、退職者の従前の標準報酬月額か、保険者の全被保険者の平均標準報酬月額のうち
いずれか低い額が算定基礎とされていましたが、
改正により、健康保険組合の規約で、低い方だけではなく、従前の標準報酬月額を算定基礎とするよう
定めることが可能となりました。
(規約に定めることで健康保険組合の財政状況改善に資すると思われますが、退職者の保険料負担が
重くなるおそれはあります)
- 被保険者の任意脱退
任意継続被保険者は、従来、次の4つに該当しなければ資格喪失できませんでした。
ⅰ 資格取得から2年を経過する
ⅱ 死亡
ⅲ 保険料の納付期日までの未納付
ⅳ 被用者保険・船員保険・後期高齢者医療の被保険者となったとき
今回の改正により、上の4つのほか、被保険者の申請による資格喪失が認められるようになります。
2.雇用保険法改正について
- 高年齢被保険者の特例
65歳以上のマルチジョブホルダー(2か所以上勤務者)について、
2つの事業所の労働時間(週5時間以上のもの)を合算し週の所定労働時間が20時間以上の場合、
居住地を管轄するハローワークに届け出ることで雇用保険の適用を受けられることになりました。
今回の1月施行の改正は、健康保険法も雇用保険法も、制度の間口を広げるものですので、
各制度が現役の労働者にとっても使用者にとっても、より使いやすく機能するといいなと思いました。