こんにちは。きよなり社会保険労務士事務所の原田です。


先日はすごい大雨でしたね。みなさんは大丈夫でしたか?

私はその日出勤でしたが、帰りはJRがなかなか動かずバスでぎゅうぎゅうになりながら無事に帰りつくことができました。

 

ちょうどその日、オウム真理教の死刑囚らの死刑執行が行われましたね。
今から23年も前の「地下鉄サリン事件」ですがあれほど残酷な事件はなかったなと今でも思います。

 

 

地下鉄サリン事件や今回の大雨のような天災地変により業務中、通勤途中に死亡、負傷した場合、労災の給付が行われるのか、気になったので調べてみました。

まず、労災保険の給付を受けるには、「業務に起因する」ことが大前提です。

個人的な恨みなどによって第三者から暴行を受けるなど、業務とは直接関係のない事件や事故は、業務中や通勤中であっても労災保険からの給付はされないのが基本です。

 

また、地震や台風などの天災による被災も業務と無関係な自然現象で、労働者は事業主の支配下にあるか否かに関係なく危険にさらされるため、基本的には業務災害とは認められません。

事業場の立地条件や作業条件・作業環境などにより、天災地変に際して災害を被りやすい業務の事情があるときは、業務災害と認められることもあります。

 

通勤災害の場合は「通勤に通常伴う危険が具体化した」ことが必要となります。
なかなか難しい言葉でピンときませんが、毎日乗っている電車が脱線事故を起こした場合や、通勤途中の階段で転倒した、などは通常伴う危険と判断されます。

 

「地下鉄サリン事件」においては、通勤途中に被害を被った労働者の方々の多くは、労災保険を給付されることとなりました。
これは、特定の個人を狙ったものではなく、霞ヶ関周辺は、過去に政党や官公庁を狙った事件が起きるなど、通勤に伴う危険が内在していたことなどを重視して、労基署は通勤災害を認めたとのことです。

また、身体的な被害だけではなく、後遺症として残った心的ストレス障害(PTSD)についても一部労災保険給付の対象となったようです。

 



犯罪事件や天災地変による被害については個々に事例を判断することになるため、労災給付の対象となるかどうかはケースバイケースとなります。

業務中や通勤中だったから、と全てが労災となるわけではないので注意が必要ですね。