こんにちは。きよなり社会保険労務士事務所の坂戸です。

だんだん暖かくなり、外の空気が気持ちいい季節になりましたが、巷ではコロナウイルスの影響で自粛ムードがさらに高まりつつあります。

 


そんな中、先日顧問先の方より船員保険の月額変更手続きについて質問がありました。


船が運航できず休業手当を支給するため、賃金の変動があることから手続きを行いたいとのことでした。

 


健康保険法には船員の保険は船員保険法の規定によるとあります。

船員の賃金体系は陸上の労働者と違い、複雑なものとなっていることから、できるだけ賃金体系を反映させた形で報酬月額を算定するように配慮されています。

 


船員保険の報酬月額の算定方法は大きくわけて2つあり、さらにそれぞれその中に2通りあるので全部で4種類あります。


一、主として汽船に適用
(1)汽船告示・・・1年を通じて船舶所有者に使用され乗・下船によって報酬の額が異なる者

 ※過去1年間の乗船中の報酬・手当等の総額が、本人本給(下船中の賃金)の何パーセント増になっているかを算出し、その率を各人の本給に乗じて報酬月額を算定します。これを「汽船告示」と呼ぶそうです。

(2)上記の汽船告示によって算定しがたい者

「行政庁算定」といわれる方法で算定されます。

 

二、主として漁船に適用
(1)漁船告示・・・歩合給のみにより報酬を受ける者

※同種の漁獲物の水揚金総額のうちの船員取得金によって算定されます。
これを「漁船告示」と呼ぶそうです。

この報酬月額から「漁船被保険者標準報酬月額改・決定早見表」を使って標準報酬月額を決めます。この早見表を使用するのは賞与等のない漁船船員の報酬について賞与に相当する分を控除しようという考えからだそうです。

(2)固定給と歩合給により報酬を受ける者
固定給は「行政庁算定」で、歩合給は「漁船告示」で算定した額の合算になります。

 


報酬月額の変更

1. 固定給を受ける者

*昇降給等の変動に伴い、標準報酬月額が改定されます。
※従前に決定されていた標準報酬月額に該当しなくなったときに標準報酬月額を改定しします。
※改定の時期は、変動のあった日が月の初日の場合はその月から、初日以外のときは翌月からとなります。


2.歩合給を受ける者

*要素の変更
歩合給を受ける被保険者については、歩合給の算出の基礎となる要素(船舶やその用途、漁獲物の種類など)に変更があったことにより、報酬に増減があったとき改定されます。

*基準日
要素の変更がなく標準報酬月額を改定しなかったものについては、毎年9月1日現在で、各船ごとに過去1年間の実績により改定されます。

 

 


これを基に報酬月額に変更があった日または基準日から10日以内「船員保険被保険者報酬月額変更届」を日本年金機構に提出します。

船員保険の報酬月額の算定方法、月額変更届の提出基準など、陸上の労働者とは違う部分があり、船員の体系を踏まえたものとなっているんですね。